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ぷよぷよを統計する~statsを作成してみた~

by
mokkun393939
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みなさん、こんにちは。
ぷよらーなら誰しも「どうしたらぷよの魅力をぷよを知らない人にも伝えられるんだろう?」と考えたことがあると思います。
今回はそのためのツールの一つとして、ぷよの連戦を統計した"stats"を作り、ぷよ観戦を可視化できないか考えてみました!


「stats」とは?
「stats」とは広くは統計の意味で、当記事においてはスポーツ中継等で表示される統計データのことを指します。
例えば野球なら投手の投げる球種とコース、サッカーならボール支配率、テニスならサーブの入る確率など、現代のスポーツ観戦においては欠かせない要素です。
statsを見れば、そのスポーツをやったことがなくても「勝っているプレイヤーがなぜ優勢なのか」がわかる優れものです。


ぷよぷよと「stats」
さて、ぷよぷよの公式大会でも「stats」が使われていることに気づいた方もいるのではないでしょうか?
そうです!ぷよぷよカップ SEASON3 1月オンライン大会 では「消したぷよの数」「全消し回数」「最大連鎖数」が表示されており、まさにstatsと言えます。
 


またチャンピオンシップでのプロの勝率や個人データ、さらに過去に表示された心拍数もstatsの一種であり、公式が力を入れようとしている分野だと勝手に思っています。


③本記事の目的
1. statsの重要性・面白さを知ってもらう
statsを有効活用するためには見ただけで「勝っているプレイヤーがなぜ優勢なのか」がわかる必要があります。
ぷよぷよにおいてこれが非常に難しく、公式の努力もあるものの現状は未達成の分野と考えます。
そこで今回私はより良いstatsの作成に取り組んでみました。statsを用いることでぷよ勝負を可視化する様子をご覧いただき、statsの重要性・面白さを知ってもらうことが目的です!

2. stats作成の基本となる考え方を報告する(別記事予定)
stats作成にあたり、全て人力でデータを記録しようとすると膨大な作業量になるため、機械を使った記録は不可欠です。
本記事ではプログラミング(python)で動画読み込み・解析を行っていますが、その際のデータ処理の考え方について別記事で紹介予定です。(詳しく知りたい人向け)

④実践~ぷよぷよプロの動画を解析してみた~
今回、プロプレイヤーのぴぽにあさん(@piponeer)といさなさん(@137attyan)にご協力いただき、お二人の連戦動画を解析させていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

お二人の連戦動画のうち、2021/1/22・2021/1/29の2回の連戦(30先×2)をご提供いただき、解析しました。
解析に際しては「連鎖数」「先打ち」「後打ち」「対応」といった要素を重視したところ、面白い結果が見えてきました!

1. 基礎データ①
まずは基礎データとして「勝ち数」「最大連鎖数」「本線回収率(中央値)」を示しています。
・1/22の連戦ではいさなさんが、1/29の連戦ではぴぽにあさんが勝利している
・最大連鎖数は1P-2P間で大きな差はないが、1/29のほうが両者ともに大きい
・本線回収率は両日とも1Pが上回っている
ことがわかります。さすがはプロ同士の対決、最大連鎖数が非常に大きいですね。
 


















 

2. 基礎データ②(連鎖数分布)
連戦中全体の連鎖数分布を示しています。
1/22は1~4連鎖がお互い多く中盤戦寄りの傾向があるのに対して、1/29は1~2連鎖の短い連鎖と大連鎖が多いことがわかります。
また、1/22は1Pの2連鎖が多く、1/29は2Pの2連鎖が多いことも特徴的です。



3. ゲーム①(勝因分析)
ここから試合毎の解析に入ります。まずは各試合ごとに勝因を分類・集計しています。
1Pは本線先打ちが勝因のケースが多く、有利な状況での先打ちや本線発火率の高さで勝利するスタイルと言えそうです。
一方で2Pは本線後打ちや対応が勝因のケースが多く、相手を動かして有利を得つつ後打ちで勝利するスタイルと言えそうです。
1/22は2Pの勝利パターン(対応+本線後打ち)が上手くいっている一方で、1/29は1Pが後打ちで勝利するケースやセカンドで勝利するケースが増えていることが読み取れます。




4. ゲーム②(仕掛け分析)
次は各試合毎に「最初に仕掛けたプレイヤー」「その連鎖数」「そのプレイヤーの勝敗」をカウントしています。
1/22は2Pの2連鎖の仕掛けが上手く、10本/30本を2連鎖の仕掛けから勝ち取っています。
1/29は1Pが2Pの2連鎖の仕掛けにうまく対応しています。また、1Pが自ら仕掛けて勝利するパターンも増えています。



5. ラリー①(対応解析)
最後に、ぷよぷよに欠かせない対応について、ラリー毎に分析しています。
「ラリー」とは、「連鎖を始めてからどちらかにおじゃまぷよが降るまでの一連のやり取り」であり、Stats作成のために今回新たに定義しています。また、「対応における勝利」①相手におじゃまを降らせる(<2段)②相手におじゃまを降らせる(≧2段)③相手に本線を打たせる の3パターンに分類して集計しています。(この集計方法は別記事で詳しく扱います)

解析結果を見てみると、2日とも2Pのほうが対応勝率が高いが、内訳が大きく異なることがわかります。
1/22は2Pによる、相手に2段以上のおじゃまを降らせる対応(19回)と相手に打たせる対応(21回)が非常に多いです。
一方で1/29は2Pによるおじゃま2段以上の対応が少なく(7回)、その分1Pにかかるプレッシャーが小さくなる→有利な先打ちの多さに繋がった、のではないかと推測できます。



6. まとめ
これまでの解析結果をまとめると…

・1/22は2Pが積極的に仕掛けて1Pを動かすことで、対応+後打ちの有利パターンに持ち込む展開が多い。
 →中盤戦重視の展開多い
・1/29は1Pが上手く対応する展開や積極的に仕掛ける展開が増え、1Pの得意な有利な盤面での先打ち展開に持ち込むケースが増えた。
 →大連鎖勝負が多い

と推測できます。
Statsをうまく使うことで、連戦を有利に進めている要因を推定することができたのではないでしょうか?

⑤終わりに
ぷよぷよのstatsについて、少しでも面白いと思っていただければ嬉しいです!
データ処理の際の考え方についても別記事で紹介予定なので、ぷよ統計に興味がわいた方はそちらもご覧ください!

それではまたの機会に。
更新日時:2021/02/18 23:31
(作成日時:2021/02/18 23:26)
コメント( 4 )
4件のコメントを全て表示する
いりみど
いりみど
2021年2月19日 9時5分

すごい面白いです! すばらしい仕事と思います!
自分は、最初の仕掛けが何手目なのか、がちょっと知りたいと思いました。

mokkun393939
mokkun393939
2021年2月20日 10時47分

null_unpoint さん
ありがとうございます!
ご指摘いただいた通り、ぷよ量や時間の使い方の観点は非常に重要で、まだ組み込めていない部分です。現状は連鎖数しか評価できていませんが、マルチや連結なども評価できると面白いかもしれません。このあたりの評価方法は別記事で紹介しますので、そちらも楽しんでいただければ幸いです!

mokkun393939
mokkun393939
2021年2月20日 10時47分

いり@緑のぎるど さん
ありがとうございます!
仕掛けのタイミングもプレイヤーによって差がありそうなので、データを取ってみると面白そうですね!現状の紹介が終わったら取り組んでみる…かもしれません笑。

いりみど
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