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ぷよぷよのプロから見る、趣味を仕事にできるか問題

by
しゅーえん
しゅーえん
どうもこんばんは、しゅーえんです。

ここ数年でe-sportsが流行り始め、今年は何回目かのe-sports元年と呼ばれています。
正直何回目か覚えてもないですが、ぷよぷよにおいては今年からプロ化が行われたので、2018年が元年で良いでしょう。

皆さんご存知の通り、ぷよぷよ自体の歴史は長く、元々趣味でやっていた人ばかりのゲームです。
この歴史の中にプロ化が入り、世間でもよく言われる

「趣味を仕事にすることの是非」
についてちょっと語ってみようかと思います。

当然のことながら、私自身はプロではないので、そういう視点からです。
また専門家の方々と比べると薄っぺらい知識なので、間違ってたら教えてください。

結論から言うと


「趣味を仕事にすることが良いことかは人による」

です。このままだと情報量一切ないので、
「どんな状況であれば、趣味を仕事にすることが良いことか」
を順を追って説明します。
(仕事=多少なりとも金銭報酬が発生すると仮定します。人としての最低限の生活が送れるかは一旦除外。)

まず人が行動を起こすには動機付け(モチベーション)が必要とされています。
生活するために仕事をする、楽しいからゲームをするなどですね。
動機づけの理論については世の中様々な研究がされていますが、
今回は近代のモチベーション理論の一つであるモチベーション3.0(外発的動機づけ・内発的動機づけ)と言われる理論を基に説明します。
基本的な考え方はマズローの5(6)段階欲求説と一緒です。

モチベーション3.0では3種類のモチベーションに分かれます。Web1.0のように、数字が小さいものほど低次なものになります。

モチベーション1.0は生存的動機づけ、すなわち「空腹を満たすためにご飯を食べる」「眠たくなったから寝る」など、生きるために必要なものです。
人間だったら誰しもが持っているモチベーションですね。
僕の過去の話は厳禁な

モチベーション2.0は外発的動機づけ、すなわち「お金がもらえるから働く」「罰せられるから法律を守る」など、賞罰などに関わるものです。
得られる報酬には「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」の2種類があり、優勝したら褒められるから、犬山に転勤したら新しい経験が得られるからなども非金銭的報酬に該当します。
論理が飛躍しますが「100先で誰かに勝ちたい」というのも「その誰かよりも強いことを認めてほしい(褒めてほしい)」目的であれば、非金銭的報酬に該当します。
「強くなりたい」であれば該当しません。難しいですね。

モチベーション3.0は内発的動機づけ、すなわち「楽しいからゲームをする」「知りたいから勉強する」など、好奇心などに関わるものです。
余談ですが、いわゆる「やりがい搾取」などは、モチベーション2.0を満たさずに3.0を実現しようとしているアレです。

「趣味を仕事にすることの是非」の話に戻しますと、一般論として
仕事=モチベーション2.0が主たるもの
趣味=モチベーション3.0が主たるもの

となります。
厳密に言うと、楽しくて仕事をしている方もいれば、誰かに勝ちたい一心でゲームをしている人もいますが、
「給与がもらえなくても仕事をしたい」や「楽しくないゲームをやりこんでも誰かに勝ちたい」人は少数派なので、一旦除外して考えます。

で、趣味を仕事にするということは「内発的動機づけ(モチベーション3.0)」で行っていたものが「外発的動機づけ(モチベーション2.0)」に置き換わる可能性がある、ということです。
ここで問題になるのが「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の関係性についてです。
もうちょっとだけ前提条件の話をします。

「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の関係の主なものに「エンハンシング効果」と「アンダーマイニング効果」​というものがあります。

エンハンシング効果は「外発的動機づけ」から「内発的動機づけ」を誘引する心理現象です。
言語的報酬(褒めるなど)を行い、主体性につながる内発的動機づけを導こうとするもので、
仕事のモチベーションが低い人、勉強する習慣を身につけてほしい子供などに使われる現象です。
対戦会に新規の人を呼び込みたい人とかは調べてみると良いかもね。(内発的動機づけをより強固にするために)

アンダーマイニング効果は「内発的動機づけ」が「外発的動機づけ」によって阻害される心理現象です。
元々無償のボランティアに対して「金銭的報酬」を継続的に渡し、急に「金銭的報酬」を払わなくなったらやる気がなくなるようなものですね。
趣味を仕事にするのは、アンダーマイニング効果が発生する可能性があります。
アンダーマイニング効果で問題となる「外発的動機づけ」は「金銭的報酬」によって引き起こされると考えられています。
ぷよぷよのプロの話にすると、賞金の金額の大小は置いといて、
元々楽しくてやっていたゲームに「金銭的報酬」が発生しています。すなわちアンダーマイニング効果が起こる条件は整ってしまったわけですね。

本題に戻すと、
「アンダーマイニング効果を引き起こす人は、趣味を仕事にすべきではない」
「アンダーマイニング効果を引き起こさない人であれば、趣味を仕事にしても大丈夫」

すなわち、

「金銭的報酬が欲しいと感じる人は、趣味を仕事にすべきではない」
「金銭的報酬を報酬だと感じない人は、趣味を仕事にしても大丈夫」

です。

生活をするために仕事をする、生活するために趣味を仕事にしたい人は適してないです。趣味が嫌いになる可能性が高いです。
仕事しなくても生活できる人や(羨ましい)、趣味を仕事にしても生活に困らない収入源が他にある人とかなら大丈夫な気がします。

僕はTGSとかのイベントに呼ばれて金銭的報酬を頂いていたこともありますが、お金稼ぎに行ったわけではなかったのが功を奏した気がします。
(そもそも打ち上げの飲みで報酬全部使った)

こうなると、最初に仮定した「仕事=多少なりとも金銭報酬が発生する」が成立せずに、
「仕事=生活するために行う」「趣味=生活に関与しない行動」とかになりそうですね。
となるとプロとはなんぞやみたいな水掛け論になるので、有識者にお任せします。

僕はぷよぷよのプロの仕組み分かってないので適当なこといいますが、
例えばスポンサーがついて専業になるなど、金銭報酬を目的としてゲームが手段になったら危ないです。
あとは賞金だけで生きていける十分な金額が出るとか?


(ここまで書いたけど、オチがなくて困ったとは言えない)

現実的に考えると、仕事に対する不満などが排除できる環境であれば仕事を趣味にしてもいいのかなと思います。
仕事に対する不満として、ハーズバーグのニ要因理論の衛生要因で挙げられている「給与」とか「作業条件」などですね。
もっと細かいの知りたかったらググってください。


あと大会形式のは絶賛放置中です。気が向いたら書きますが、気になる人は直接言ってください。
更新日時:2018/08/23 01:12
(作成日時:2018/08/23 00:59)
カテゴリ
日記
コメント( 3 )
taka
taka
2018年8月25日 10時39分

非常に参考になりました。
アンダーマイニング効果について、受け側の視点から適/不適の話がなされていましたが
報酬を与える側の視点からアンダーマイニング効果を回避するような方法についてはどうでしょうか?
例えば、趣味(ゲームプレイ)そのものではなく隣接する活動(PR等)に報酬を与えるとか?
より進んでいる界隈の話で実例があれば教えていただきたいです。

しゅーえん
しゅーえん
2018年8月25日 17時18分

たかくんへ。
質問の意図がよくわからないから適当なこと言いますが、
アンダーマイニング効果を回避したかったら金銭的報酬を出さなければ良い、です。

そもそも自らやりたい!っていう内発的動機づけがされている状態で、他の人がチャチャ入れるのはあまりよろしくないです。
本来はエンハンシング効果にあるように、内発的動機づけがされていない状態だから他の人がチャチャ入れて効果がある感じです。

日本の法的に厳しいですが、今の公式大会が
①プロ以外のアマチュアのみ大会(優勝すれば賞金とプロ化、外発的動機づけ目的)
②プロオンリー大会(優勝しても賞金などなし)
とかが心理学上はうまいこといきそうな構成です。

taka
taka
2018年8月27日 20時0分

今のぷよプロは皆さん本職がある状態で、賞金はあんまりマイナス方向には働いてないかな?と思いますが
今後もし仕事に出来るレベルになったとして
理想的な報酬の形としてどういう方法があるのかな~、と大会賞金に限定しない形の質問でした。
答えていただきありがとうございます!

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