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続・なぜくまちょむ戦法は強いのか タネあかし編

by
シラタマ
シラタマ
皆さんは見事に騙されてくれました。ありがとうございます。実は前回の記事において、私はとあるトリックを仕込んでおきました。


どうも、シラタマです。いきなり不穏な始まり方で恐縮です。はて、なんのこっちゃ?って方は、まず前回の記事を読んでみてください。https://puyo-camp.jp/posts/69726


さて、前記事にて私はくまちょむ戦法の考察に説得力を持たせる為、いくつかの対戦データを示しました。大雑把に書くと、速攻とその時の勝率についてです。


何か変だなと思いませんでしたか?あ、いやデータが数え間違ってるとか表のフォントがちょっとおかしいだろとか、そういうことではなくて。(Numbersの使い方がまだイマイチよく分かっていません…苦笑)


ではタネを明かしましょう。変なところ、それは、データの「使い方と見方」です。ここで、本記事の構成を先に書いておきます。お好きな所からどうぞ。



■一部 前記事のトリックのタネあかし
・データの使い方と見方とは?
・正確にデータを解釈しよう

■二部 くまちょむ戦法を習得するために
・何を目指すか
・乱戦の7カ条


■三部 くまちょむ戦法にどう対処するか
・先折GTR編
・後折編



※以下プレイヤー敬称略です


■一部 前記事のトリックのタネあかし

・データの使い方と見方とは?
ではデータを見てみましょう。
まず、「速攻の種類と勝率」についてですが、ここで選ばれた対象はもちろん「速攻の種類」と「勝率」です。…何だかちょっとおかしくないですか?「速攻の種類」が示すものとして、より求められる重要なデータは「それが刺さったかどうか」ではありませんか?

何故なら、速攻が刺さったからといってその試合に勝てるかどうかは分かりません。逆に刺さらなくても試合に勝つパターンだってあります。加えて、試合に勝った時、速攻が勝利にどこまで貢献出来た要素かどうかはこれだけでは不明瞭です。つまり、このデータでは勝利への過程とその要因がばっさりと省かれてしまっているのです。

次に、「総ツモ数における勝率」についてですが、これも同じことです。「総ツモ数」と並べて考えるべき対象は「刺さったかどうか」でしょう。

3つ目、「対土台別勝率」。もうわかりますね。「相手の土台」と「刺さったかどうか」がより求められる関係性です。

つまり、本来速攻に関する情報と並べるべきものは「それが刺さったかどうか」のほうがより具体的な意味を持つのではないか?ということです。もちろん、前記事の勝率データが全くの無価値というわけではないですし、速攻が持つ各属性の大まかな傾向を測ることはできました。しかし、速攻と試合の勝利を一緒に考えるとすれば、その過程をもっと丁寧に見てあげる必要があります。


このように、得られたデータを恣意的に抽出して都合良く繋げてしまうと、衝撃的だけど因果関係が正確かどうかよくわからない結論が導かれてしまいます。特に、勝率というものは実に便利なマジックワードなので気をつけましょう。データは嘘をつきませんが、それを価値あるものに出来るかどうかは人間次第です。

このトリックを見破れた方。お見事です。データをそのまま鵜呑みにしてしまった方。もう少し、データを疑う姿勢を持ってみましょうねぇアハハハハハハ(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎



・正確にデータを解釈しよう

冗談はさておき。それでは、より具体的な意味を持つデータを改めて皆さんにお見せしましょう。

前回同様、表の記号の意味は次の通りです。
◯:刺さった ×:発火された △:通ったが受けられている


1.速攻の種類と刺さった割合


どうでしょう。勝率と比べると、だいぶ成功率は下がるものです。いくつか気になる点をかいつまんでみます。2連鎖に対し相手は受けを選択することが多いのに対して、2ダブに対しては相手の発火率が上がること。2トリ最強伝説は揺るぎないこと。4連鎖はやはり危険ドラッグであること。このくらいでしょうか。


2.総ツモ数における刺さった割合


こちらはだいぶカオスな結果になりました。自分でもどう読み取っていくか苦慮しましたが、とりあえず言えることは「刺さるかどうかだけでくまちょむ氏は速攻を使っているわけではない」って所でしょう。つまりその後の展開や乱戦をいかに制することができるかの部分のほうが勝利に対する寄与度としては大きい。また、打ったら不利になるパターンでもあえて速攻を選択することもあります。これは、未来に対する種まきや投資のような行動だと僕は考えています。

まず、「人読み」というものがあります。これは相手が何をやってくるか予測したり決め打ちしたりすることですが、くまちょむ氏は、逆にこの性質を利用した「人読ませ」を連戦中に行なっているように思います。平たく言うと、相手の脳に速攻のイメージを焼き付けさせるということです。焼き付かせた後、速攻をまたやるかどうかは別の話。こうして、「する」「しない」という選択肢が発生し、それをくまちょむ側が選べるので、くまちょむサイドに心理的な主導権が生まれるのです。

このような、連戦などの複数回試合を行うことを前提として用いるトータル戦術のことを専門用語でAGT(Among Games Tactics)と言います。もちろん今僕が勝手に考えました。あ、でも既に誰かが別の形で提唱しているかもしれません。りべさん辺りが起源説を唱えたら僕は素直に身を引きます。そんなわけで、ある程度確実に刺さるタイミングを読んで打つ通常の速攻とくまちょむ戦法はある意味性質の異なるものとも考えられます。何でしょうね、厳密には名前区別したほうがいいのかな。K速攻とか?(適当)

話がちょっと長くなりました。ちょいネタをシメにひとつ。この表における総ツモ数14個時の×、つまり総ツモ数14個で発火した時に、相手が発火してきたケースは4回ありましたが、いずれも対戦相手は全てSAKI氏であり、かつ土台の内訳は後折3新GTR1でした。前回、総ツモ数勝率表で見た「14個の谷現象」はどうやらここにあったようです。サンプル数がもうちょっと欲しいのは山々ですが、総数14個時に後折に対して速攻を打つのは大体不利になることがわかりました。



3.対土台別刺さった割合


さて、みんな大好き土台編です。
成功率云々はまあこんな所かなと思う一方、気になったのは相手の発火率。

特に、先折系土台の発火率の低さが目立ちます。発火率が低いということは、つまりカウンター志向が強いということになります。それを選択して、受かるか刺さるか。先折GTRだと45%で刺さるんですよ。地味に怖いですよ。これについてはまた後で考えます。



■二部 くまちょむ戦法を習得するために
二部ではくまちょむ戦法を使う側の心構えとかそのあたりをさらっと書きます。

〈何を目指すか〉
くまちょむ戦法と言っても、これまで散々書いてきたように、単純にくまちょむ戦法=速攻、ではありません。くまちょむ戦法は、見えない数多くの技術によって成り立っている総合芸術です。その為、速攻の部分だけ真似をしてもおそらく中々思うように勝てないでしょう。何故なら、くまちょむ戦法は特に高い乱戦力が求められるからです。以下の項目は、他の戦術や土台においても役に立つ部分はあると思いますので、ひとつひとつ磨いていけばその分勝率はほんのちょっとずつでも上がるのかなあと思います

〈乱戦の7カ条〉
1.連鎖力
色々な所から繋げる連鎖力をつけよう

2.凝視
ツモや相手の形によって打たないほうがいいパターンを覚えよう

3.追い討ち判断
どのぐらいで相手は掘り切れそうか、短い連鎖で畳み掛けるべきか、長い連鎖を組みに行くべきか等をよく見よう

4.ぷよ量把握
相手が大きい連鎖を作れているのに足りない本線をすぐ打たない等気をつけよう

5.優勢判断
多少のリスクがあっても何かしらのアクションを起こしたほうがすぐに勝てる場合もあるぞ

6.おじゃまの受け
相手の反撃をものともしないおじゃまぷよを受ける力をつけよう

7.あきらめない
4マスあればぷよは消せるから最後の最後まであきらめずに頑張ろう


後は実際に君の目で確かめてくれ!!


(他にもあるかも。皆さんも考えてみて下さい)



■三部 くまちょむ戦法にどう立ち向かう
三部ではくまちょむ戦法に対して、ぷよらーは一体何を気をつければいいのか見ていきましょう。代表的な2つのタイプの土台です。そろそろ文章に飽きてきた皆さんも多かろうと思ったので実戦図を交えて考察しようと思います。


・先折GTR編

まずは使用率トップクラスの先折GTRの受けについて考えてみましょう。実戦図はくまちょむ対あいり戦から。


冒頭にくまちょむ速攻連結2連鎖。あいり氏は速攻のにおいを感じ取り、頭伸ばしをして受けることを選択。おじゃまぷよがあいり氏側に降り注ぎます。



この時何が起きているのでしょうか?
ここでのくまちょむ戦法は、序盤でのぷよ量消費と引き換えに、GTRの頭か土台右部分のどちらかを捨てろというバーターを仕掛けてきているに等しいということです。

実際、さた…あいり氏は頭のほうは死守できましたが、土台右部分は結構ダメージ受けてます。こうなってしまうと、飽和連鎖数はガクンと落ち、焦って自ら乱戦フェイズに移行してしまいがちなので気をつけましょう。一方、頭のほうも追い討ちされる前に一旦掘らなければなりません。このように、先折で受ける判断をするというのはその後色々とケアしなければならない部分が多くなるので、言うほど簡単ではありません。ちなみにこの試合はくまちょむ氏が中盤戦後に見切って7連鎖を先打ちし、あいり氏は上部で連鎖尾入れて後打ちするも足りず、くまちょむ氏勝利でした。このように、土台右下のエリアが死ぬのは後々火力に響いてくることがわかります。



・後折

まだまだ根強い人気を誇る後折。その中でも色々土台あるので結構大雑把なくくりですが。実戦図はSAKI対くまちょむ戦からです。

くまちょむ氏は9手で2ダブを打ちますが…



SAKI氏の5連鎖が間に合いあえなく撃沈。



このように10手の法則が効かない場合もあります。何故なら速攻2ダブを打つ時間で後折側は数手多く引けるからです。

ここでSAKI氏が上手いのは、1枚目の、真ん中を空けて青の目を残しつつすぐに発火できる折り返しを作りその後青を足す、という全体を通して速く隙なく5連鎖完成の流れを作っている所ですね。5連鎖だけ見ると地味に見えてしまいますけどね。

今回の場合はツモ的にも黄色は大体の人は横3にすると思うのでまだマシなのですが、これと異なるケースで、形にこだわって無理にGTRを作りに行こうとすると発火が遅くて死亡することもあるので気をつけましょう。下図のような、一般的には後折GTRの良手と言われる6列目の離し置きも、対くまちょむ戦法だと刺さる時間帯が長く、4連鎖以上で迎え撃つ、という観点ではややリスクがあります。相手の形が不穏な時は発火点キープの手順を意識してみましょう。





いかがだったでしょうか。他にも色んな対応パターンがあると思うので是非考えてみて下さい。


今回もかなり長くなってしまった…ここまでお読みいただきありがとうございました。くまちょむ戦法考察は一旦これで締めにします。シラタマ氏の次回作にご期待下さい(╹◡╹)またどこかの考察で!


p.s. 
前回の記事、反響をいただけたみたいで良かったです。ありがとうございます。あ、そういえばおいうの動画切り出したけどそれって今更だけど良いのかな…もし問題あったら当事者の方、ご連絡下さい。
更新日時:2018/11/21 01:29
(作成日時:2018/11/21 01:29)
コメント( 2 )
hdn060
hdn060
2018年11月21日 4時8分

同じ「刺さった」でも何段降るかで全然話は変わってくると思うので、勝利より刺さったかの方が重要かというとどうなんだろうとも
相関性云々の話するにはそもそもデータが足りなさすぎますし
考察自体は興味深くて面白かったです

シラタマ
シラタマ
2018年11月21日 7時46分

ありがとうございます。
そうですね〜
一段か二段かは大きいです。刺さるかどうかで見ればそこはくまちょむ戦法側も意識すべきだろうと思います

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