どれだけプレイ時間を積んでも実力が伸びない時期。スポーツ等ではプラトー効果と呼ばれている現象です。
この記事では、僕が昨年約8か月(プレイ時間にして約1000時間)の間伸び悩みに苦しみ、その後急成長できた記録をまとめ、伸び悩みと急成長の原因を考察してみました。
【日々のレート連続記録から見える停滞期と成長期】
下のグラフは僕のPS4版ぷよぷよeスポーツの日々のレート連続記録です。記録は2020年3月から付けていますが、このグラフの左端が僕のぷよぷよを始めた日では無く、PS4ぷよスポに潜り始めたのはその1か月半ほど前、ぷよぷよ自体は2014年にぷよ20thにかなりはまった時からレートに潜っていました。
{2014年~2019年}
2014年にぷよ20thにはまった最初の半年くらいはかなりやりこんで、ぷよ20thのレートが1500から1800くらいまで成長した記憶があります。1500はかえる積みにも負けるくらい組むのが遅いレベル、1800はかなりゆっくりだけど邪魔がなければ10~11連鎖組めるくらいでした(PS4なら1900くらい?)。それから7年間、一時期離れた時期もありながらもそこそこのやりこみ度でぷよを続けてきました。ぷよテト1、ぷよぷよeスポーツはSteamでプレイしており、Steam版ぷよスポの2019年の平均レートは2150(PS4で1950相当)でした。そして2020年1月にPS4版ぷよぷよeスポーツを購入してから現在(2021年11月)に至るまでの2年弱はかなりのはまり具合(年間1000時間程度)でやりこんでいます。これは2019年末頃から配信やTwitterで多くのぷよらーと交流を始め、オンライン大会にも参加するようになった事が大きなきっかけでした。
{2020年前半の急成長と後半の停滞期}
そのはまりこみ具合で2020年6月頭くらいまでの数か月間で平均レートが1950から2250へと急速に伸びた事が綺麗に記録されています。しかし、そこから2021年2月までの8か月間、平均レートはずっと2250前後で停滞しています(Switchでは2550前後に相当)。成長期も停滞期も1か月あたりのプレイ時間はほぼ同じです(月100時間程度)。つまり、同じ濃度でぷよをやりこんでいるのに実力がパタリと伸び悩んでいたのです。
グラフの最初の急成長期間は、速度の大幅な上昇+飽和も少し上昇しました。その後も一番の課題は速度だとアドバイスを沢山貰いましたが、この停滞期ではその速度が伸び悩んだのです。これは多分僕に限らず、このレート帯の人はみな速度が課題と言われる気がします。なぜなら、ぷよぷよで安定して速度を出すためには連鎖力・形の知識・操作力・判断力等ぷよに関する能力の全般的な向上が必要で、速度は色んな能力値の内の一つというよりむしろ総合力を反映したものに近いからです。つまり僕はその総合力が長い間伸び悩んだのです。
長い伸び悩びの最中は、「これ以上速度を出すのは自分の脳には限界なんじゃないか?」と諦めの気持ちもかなり出ました。あるいは「PS4のレートが自分の成長に合わせてデフレしているのでは?」と錯覚を覚えるほどでした。それでも配信やオンライン大会、Twitterでぷよらーと交流するのが楽しく、土台や手順研究であーだこーだ言うのも楽しく、ぷよモチベが一向に落ちなかったのが何よりの幸せでした。そして8か月に及ぶ停滞を破りついに2021年2月に初の瞬間2400突破したのを皮切りに5月には瞬間2500突破、平均レートも数か月で2250→2400ちょいまで急成長しました!
【停滞期打破・急成長の原因の考察】
ここからは、その急成長の原因を考察していきます。僕はこれまでずっとACぷよ通時代のTomさんの手順に憧れて、後折り・弥生手順の土台手順を研究してそれを組んできました。ぷよの練習の比率はシミュ2~3割、とこぷよ2~3割、実戦(レート)5~6割といった感じです。急成長の直前に何か変わった事をしたかというと、いくつか候補があります。
(1)フィーバーにはまり3個ぷよ4個ぷよの捌きや新しい土台を組んだ事。
(2)Weぷよリーグに参加し、その練習のため少し格上の人達と週2回20先の連戦をし続けた事。
(3)地雷戦術を使い始め、乱戦経験を急速に積んだ事。
一つずつ考察していきます。
(1)フィーバー
通にはない3個ぷよ4個ぷよを含んだツモで連鎖を組むのは本当に難しく(特に3個ぷよがきつい)、最初はとこぷよ10連鎖も安定しませんでした。また、無駄消しが出来ず時間制限のあるフィーバー伸ばしも、ぷよ脳の高速フル回転が要求されます。ほんとに脳がヒートアップする感じでぷよ脳の鍛錬になっていました
(2)20先の連戦
僕は普段はレートに潜っている事が多く、ここまでの頻度で連戦をする事は初めてでした。連戦は本当に楽しく、ぷよモチベにもさらに火が付きました。レートにはない人読みや駆け引きの要素が強まり、これまで土台手順ばかりに研究を割いてきた自分が戦術の研究にのめりこむようになりました。
(3)地雷戦術
これは土台で地雷が打てる形を保持したまま連鎖を組みつつ、ツモが来たら地雷の巨大1連鎖を放ち、そのまま埋めきって勝利するor乱戦にもつれ込むという戦術です。この地雷戦術を始めたきっかけが(2)の20先連戦で何か駆け引きをしたい!自分の武器が欲しい!と思ったからでした。また当時上級ぷよらーの数人が相次いで長年使っていた土台をさっぱり捨てて新しい戦術に挑んでいるのを見て刺激されたのも大きかったです。
地雷戦術を始めて、
乱戦になる頻度が急激に増えました(恐らく以前の3倍から5倍以上の頻度)。地雷を打ち終わったぐちゃぐちゃの残りぷよから追い打ちをしたりそこから飽和連鎖を組む経験が急激に積まれました。相手からお邪魔が送られてくる頻度も増え、凸凹のフィールドで連鎖を組むため色んな繋ぎ方やアドリブ力が求められる。少しでも遅れると有利が一気に不利になるので速度も緩められない。そんな戦いを繰り返す事で、意図せず乱戦力やアドリブ連鎖力が鍛えられていきました。
ちなみに地雷戦術自体がレートを上げた可能性ですが、その後地雷戦術をいったん封印した時期も平均レートは変わらず2400前後でした。このことからレートの上昇は地雷戦術自体の強さによる上昇よりもぷよの総合力の上昇の効果が大きかったと言えます。この付近のレート帯は戦術毎の強さというよりは地力(主に速度)が物を言うのかもしれません。
{意図せず効率的に鍛えられたぷよ脳}
以上に共通することは、これまであまり鍛えて来なかった能力を意図せずですが重点的に鍛えていたという事です。つまり急成長の要因は、
ぷよ脳のこれまであまり使っていなかった部分をフル回転で使い続けた事により、これまで鍛えられていなかった能力が重点的に伸びたため、という可能性が高いと考えられます。
ぷよぷよは脳のリソースゲーだとよく言われます。脳の処理をいかに軽くし、連鎖構築や判断を素早くこなせるようにするかが勝つために重要になってきます。逆に言えば、その脳の処理能力やメモリを増やすには、脳に負荷をかける練習を積むことが効果的になるはずです。それが、普段使わない土台、フィバツモ捌き、乱戦合戦、、などなどでした。
そんなアドリブ連鎖を組むようになると、今まで綺麗な形に拘り過ぎていたことにも気づきました。こだわりが減る事でより自由に組めるようになり、それまでどこに置けば良いかわからないツモも迷うくらいならとりあえずズバズバ置いてしまい後から解消・回収すれば良いか~くらいの意識に変わったことで伸び悩んでいた速度が上昇しました。つまりこの急成長期の速度の上昇は、「これまで知らなかった連鎖の繋げ方の知識・経験の急増による脳の処理力の増加」、「形に拘り過ぎない意識の変化」の二つが大きかったと思われます。
【長い伸び悩みの原因の考察】
以上の考察から、逆に実力が伸び悩んだ理由も推察できます。プレイ時間を積んでいるのに実力が伸び悩んだのは、何かしらがボトルネックになっていた可能性が考えられます。それが僕にとっては、それまであまり鍛えてこなかった部分、乱戦力・アドリブ連鎖力にあったのだと思います。
{勝つために脳負荷を減らす事と練習効率との関係}
実際それまでは乱戦がかなり苦手で、序盤にお邪魔が1個振るだけで手がぱったり止まってその後の連鎖もボロボロになっていました。もともと手順研究が好きで、効率よくツモをさばいて綺麗な土台を組む能力は優先的に鍛えられていました。序盤の3手は置き方を完全にパターン化し、そこだけはぷよを始めて早い時期から下押しっぱで組めるようになりました。これは悪い方法ではないと思っており、ぷよを始めて最速で上達するためにはかなり有効な方法だと思っています。ぷよ20thで初めてレートに潜った頃、一生懸命考えて連鎖を組んでいる序盤に2ダブや4~5連鎖で潰されて何もできずに負けるという試合が多発して、それはもうめっちゃ悔しくて(>_<)、とにかく速く5連鎖分までを完成させるために突き詰めたのが序盤のパターン化でした。そのおかげでぷよ20thのレートを300くらい上げる事が出来たのです。
しかしそのため、折り返し以降のアドリブ的なツモ捌き、お邪魔が混じった連鎖、乱戦や全消し戦の消化後などはかなり苦手なままでした。その鍛え方が分からずに、ひたすら経験を積むしかないと思って同じ戦い方でひたすらレートに潜り続けていました。しかし、その「慣れた形で本戦重視でレートに潜り続ける」という方法は、
「勝つために脳の負荷を下げる効率が良い=脳に負荷が掛からないため練習効率が悪い」のでした。それがある時、乱戦が頻出する戦法やフィーバールールに夢中になった事で、効率の良いぷよ脳の鍛え方に意図せずたどり着いた事で急成長出来たのでした。
{鍛えてこなかった能力ほど伸ばしやすい}
乱戦力はこの短期間で見違えるように伸びました。今ではむしろ乱戦になったら同レート帯なら自分の方が得意だという精神的優位が得られるほどで、これは対戦中とても心強いです。例えば全消し戦即消化同士の試合は、昔なら「うげ~_(
꒪ཀ꒪」∠)_」って感じでしたが今は「ヨシキタ!
d(≧ω≦*)」ってなります(同レート帯に限る)。
このように、これまで鍛えられていなかった能力というのは、既に鍛え上げた能力と比べて少ない期間で大きく成長できます。それが伸び悩み打破からの急成長のメカニズムだったと考えられます。
{ぷよモチベが一番大事な原動力}
ここまで色々考察してきましたが、以上の経緯を踏み成長を遂げるために一番必要だったものは間違いなく「ぷよモチベ」です。急成長の最初のきっかけになった20先の連戦による対人戦モチベの上昇はとても大きかったです。そもそも脳に負荷をかける新しい戦い方をすれば一時的にレートは下がりますし、それでもその戦術にのめりこむための原動力としてぷよモチベが果たした役割は大きいです。また、長い停滞期でもぷよぷよのプレイ時間が減らなかったのは大会や交流などでぷよモチベがどんどん供給され続けたからでした。
モチベのためには自分の好きな練習をするのが一番です。ここで紹介した練習法は僕が楽しくて夢中になったから上手くいったのであり、楽しくないのに無理してやることは結果的にモチベを下げて逆効果になる恐れがあります。成長速度にはプレイ時間が何より大きいのでそこが減っては本末転倒です。
それでも何か新しい事を始めるのは楽しいし、今まで鍛えられていなかった部分が鍛えられ、今まで出来なかった事が出来るようになる喜びはとても嬉しいものがあります。長い間伸び悩びに苦しんでいる人は、
何か自分が夢中になれそうな新しい事を始めてみると良い結果につながるかもしれません。もし新しい事を始めて一時的にレートが落ちてしまった時は、「俺は今レートを犠牲にして濃厚な経験値を得ているんだ。。。!」と思うのがコツです!
【おわりに】
伸び悩みは色んなレベル帯で多くの人が直面したことのある(或いは今直面している)問題だと思います。伸び悩みはやはり辛いです。伸び悩みの中にいる時にそれが出口のあるトンネルだと信じ続ける事は難しいです。そんな中、長い伸び悩みの後急成長できたという事例がある事は勇気を与えると思い、今回記事にまとめようと思い至りました。
この記事で述べたように僕は多くのぷよらーから沢山のモチベを貰い続けて、ここまで成長する事が出来ました。この成長という光景がまた誰かのぷよモチベに貢献したり、ぷよぷよを通じて誰かが楽しい思いを感じる瞬間を増やすことに繋がるのであれば、それはとても嬉しい好循環です。