流行に交わらないアウトサイダーが好きだ。
ぷよぷよの戦術において確実に流行というものが存在する。現在では多重折りで火力を持たせた先折りGTRによるU字型連鎖(第二折返しがない或いは極力小さくして連鎖尾を大きくした連鎖)が流行といっていいだろう。それ以前は弥生手順といわれる形や後折りGTR主体の中盤重視戦型が流行だった。
流行とは多数の人々による共通認識があって初めて生まれるものだ。そしてぷよ界の戦術における共通認識とは「あの人が使っているあのやり方が強い」という、トップランナーに対するある種の尊敬に近い形で現れる。上述の流行戦型でいえば、それぞれ順にまはーら氏、Tom氏、momoken氏を標榜したものであることはある程度ぷよぷよを知っているものならば自明と思われる。
このあたりは非常にスポーツ的で、例えばサッカーでいうバルサ流ティキタカやアトレティコの4-4-2、野球でいうアストロズのフライボールレボリューションが代表的な例として知られているだろう。
目下、現役最強と目されるまはーら氏の戦術を大なり小なり取り入れているプレイヤーは多いだろう。このような形で優れた技術が伝播していくことは、界隈にとって非常に良い刺激だ。
しかし、である。
流行によって似たようなスタイルのプレイヤーが量産されることに、一種のマンネリを感じている人も少なからずいるのではないだろうか?
現在、公式非公式問わず少なくない数の大会が開かれ、YouTubeを開けば毎日多くの連戦が行われているが、そのうちの少なくない割合がまるでミラーマッチの様相を呈している。こうした状況に閉塞感や手詰まり感を覚える人が必ずいるはずで、それはこれから先じわじわと広がっていくことは想像に難くないだろう。
だが、翻ってみれば、上述した流行戦術たちも、それが流行となる前はアウトサイダーだったのだ。アウトサイダーが流行を駆逐することでまた新たな流行となる。こうした、流行の新陳代謝とも言うべきものが、ぷよぷよ界においても求められる。
「ぷよぷよは自分のこだわりの押し付け合い」と表現した人がいる。今、流行に交わらず、自分のこだわりをアウトサイダーとして貫いている人もいるだろう。
そうした人たちに伝えたい。あなたを応援している、あなたがぷよ界の将来を切り開くのだ、と。