ぷよぷよを盛り上げるために対人戦の敷居の高さについて考えた結果、新しいモードを思いついたので、今回はそれについて書いていこうと思います。
■ぷよぷよは何が楽しいのか■
ぷよぷよを盛り上げるためには、何よりもまずより多くの人がぷよの魅力を味わうことが一番大切です。
ぷよを手にとってプレイした人がすぐにその魅力を味わえるというのが理想の形と言えるでしょう。
では、そのぷよの魅力とは何か、初心者目線から見たものを滅茶苦茶ザックリ2つに分けて考えてみます。
1つ目は連鎖の華やかさです。
前の記事でも少し触れましたが、ぷよの連鎖は『ドミノ倒し』或いは『ピタゴラスイッチ』のように見るだけで楽しめる華やかさに魅力があります。
連鎖を組んで発火させるだけで爽快です。
自分が組んだものでなくとも、大連鎖は見てるだけで「すげー」となります。
友人に『ぷようまいんでしょ?めっちゃ凄いのやって!』なんて言われたことはないでしょうか?
ぷよを知らない人でも、いえ、ぷよを知らない人ほど大連鎖は華やかで魅力的に見えると思います。
しかし、もちろん初心者がそんな大連鎖を組むことは出来ません。
それを解消しようと考えついたのがフィーバールールだったのかもしれません。
フィーバー合戦はあまりルールを知らない人が見ても『何かすげーことが起こってる!』と容易に認識できます。
初心者にも比較的容易に大連鎖が撃てるので、先に挙げた『ぷよを手にとってプレイした人がすぐにその魅力を味わえる』という目的を見事に達成した仕組みだと私は思います。
実を言えば私も、そんなフィーバーの華やかな対戦に魅せられてぷよぷよがより好きになった人種です。
入りは初代でちらっと、ぷよ通はかなりプレイしていましたが。
ぷよの楽しさの2つ目は勝つことです。
対戦型パズルゲームである以上、負けて楽しいなんてドMはまずいないでしょう。
しかし、この勝つ楽しさを連鎖もままならない初心者の方に伝えるのは中々難しいです。
それを実現していたのがオフラインで遊べたストーリーモードだったと思います。
前の記事でも触れましたが、最新作のぷよぷよeスポーツはオンライン対戦メインの作品となっています。
しかしこれでは初心者が『勝つ楽しさ』を味わうのは不可能です。失敗と言わざるを得ません。
勝てなくて『ぷよぷよつまんねぇ』と思ってやめちゃう初心者がいるのは実に勿体無いです。
勿体無いどころか、このままだとせっかく手に取ってくれた初心者さんが『ぷよぷよってつまんねえな』という印象を持ち、それ以降二度とぷよぷよに興味を示さなくなってしまう――といったようなことも十分に起こりえます。
今からでも遅くないので、可及的速やかにアプデでオフラインモードを搭載するべきだとすら思います。
オフラインにあるストーリーモードはありきたりなようで、実にうまく『勝つ楽しさ』を味わえる重要なモードになっているんです。
というのも、CPUにも強さがあり、自分の実力に見合った相手と段階的に戦えるからです。
どれだけ連鎖を理解していなくても、どれだけ積むのが遅い人でも、とりあえずは勝てます。
ぷよの回転すら出来ないスケルトンTに苦戦するなんていう人はあまりいないでしょう。
ストーリーモードはちゃんと勝つ楽しみをすぐ味わえるモードになっていたのに、それがないせいで逃げる初心者は多いんじゃないかと感じます。
ぷよぷよeスポーツで初めてぷよに触れた方は、楽しさにちゃんと触れているのか疑問です。
仮にオフラインモードを搭載したとしても、課題はまだ残ります。
それは対人戦という、必ず立ちはだかる断崖絶壁です。
ぷよぷよは既にeスポーツ化し、対人を前提にゲームが行われているので、勝つを楽しむ為には避けて通れない道と言えるでしょう。
初心者が勝つ楽しみを味わいながらオフラインモードをクリアした頃には、順調に腕も上がり、連鎖の意味が分かるくらいにはなっていることでしょう。もしかしたら階段連鎖で4連鎖5連鎖くらいは素早く組めるようになっているかもしれません。
しかし、オフラインでは敵もなくなって腕にも自信がついてきた所で、満を持してオンラインに潜ると八つ裂きにされます。
いくら対戦してもオフラインで身につけた必殺『階段連鎖』が通用することはありません。
一生懸命連鎖を作っている途中なのに大量のお邪魔を送ってくるなど、相手は卑怯な手で自分の武器をへし折ってくるのです。
たまには勝てます。
しかしその麻薬のような一時の幸福感が、レアの出ない課金ガチャを延々引き続けるような地獄へと誘います。
その結果プレイヤーは次やれば勝てる、その次こそは勝てるといった具合に順調に敗戦を重ねていき、気がついた頃には精神を破壊されているのです。恐ろしい。
このように、オフラインを卒業した次はオンラインという名の地獄への直通便に乗せられるという、初心者にとってはある種地獄を約束されたゲームのようになっているのが現状です。
これでは勝つ楽しみなんてものは味わえるはずもないです。
その流れを阻止すべく、私がこうして筆を執りました。
地獄なんて大げさだと思った上級者の皆様、初心者の立場になって想像してみて下さい。
精一杯3連鎖4連鎖作ってオフラインのラスボスを倒し、喜んでいるような年端もいかない健気な子供です。
そんな子供が自信を覗かせるように眉を釣り上げ、目をキラキラ輝かせながら殺戮のオンラインに飛び込んでいく様を――。
■何故、対人戦では勝てないのか■
結論から書きます。オフラインとオンラインでは、やっていることが違うからです。
極端に例えるなら、地元で草野球やってる人が、バットを持って剣道の全国大会の舞台に立ったような感じです。
いくら野球の技術を鍛えても、やってる競技が違うのでボコボコにされて当たり前なんです。
一歩踏み込んで具体的に説明してみます。
オフラインは可能な限り大きな連鎖を作ってぶっ放せば勝てるゲーム。
オンラインは相手の盤面を見て次相手が仕掛けてくるであろう攻撃を予測し、自陣のぷよを自在に操って的確に対応し、相手の隙をついて沈めるゲーム。
求められるスキルが全然違います。
オフラインで身につけたスキルを磨くだけでは、絶対にオンラインでは通用しない仕組みになっているんです。毎日バットを持って素振りしてても剣道の試合に通用する技術は絶対に身につきませんので。
要するに、オフラインで培ったスキルがオンラインでもちゃんと通用して、すんなり対人を楽しめるようになっていないんです。
それを正す為にはどうすればいいのか、もう少し掘り下げて考えてみます。
■ぷよ=連鎖の意識を変える■
ぷよぷよと言えば連鎖、ぷよは大きい連鎖を作って華々しく発火させるゲームというのは間違いです。
オフラインモードで完結していた時はそれでも通用しましたし、ラスボスも倒せましたが、eスポーツとして対人戦を前提にしている以上、そういう認識でプレイしていたら草野球のプレイヤーが剣道の大会に出るハメになります。
ですので、まずその意識から変えさせなければいけません。
現状のオフラインモード、ストーリーモード等では前者のような認識になってしまうのも仕方ないです。
大きい連鎖を作れば勝てるので、大きい連鎖を作ることを目的としても間違ってはいません。
連鎖を作る技術は絶対に必要になるので、これはこれで良いんです。
しかし、対人戦を楽しむためにはこれだけではいけない。
認識を改めましょう。
今あるぷよぷよは、相手の盤面を見て、自陣のぷよを自在に操って相手の攻撃を適切に対応していくゲームなんです。
相手のフィールドを見る技術、相手の攻撃に対応する技術を身に着けなくては対人戦を楽しむことが出来ません。
なので、現状あるストーリーモードとは別に、そういったスキルが身につくオフラインのモードがあって然るべきだと私は思います。
そうしないと、いつまで経っても対人戦の壁を乗り越えることが出来ずに挫折してやめていく人を量産していくだけになってしまいます。
現状ではどうすれば対人戦で勝てるのか全く分かりません、ヒントすら転がってないですから。
ですので、オフラインのゲーム内でそのヒントを出そう、技術を身に着けてやろうという訳です。
もちろん、ゲームなのでスキルを身につける過程、それ自体楽しいものでなくてはなりませんが。
シリーズの中には練習モード或いは学習モードといったようなものがあったと記憶しています。
アコール先生の指導の元、階段連鎖を実際につくてみましょう的な。
あれはあれで良いとは思うのですが、学習させられている感があってそれ自体楽しいのかな?と少し思います。
向上心のある方は苦にならないのかもしれませんが、能動的にゲームして遊ぼうという作りにはなっていません。
ですので、階段連鎖しか通用しないボスでも作って「俺を倒してみろー」的な興味の引き方、遊びを作った方がいいんじゃないかなと感じます。
もちろん私はゲームを作った経験などないに等しい素人なので、言ってることは適当です。
それを踏まえて、私は以下のようなモードを考えました。
題して、防衛モードです。
■防衛モード■
【概要】
ゲーム進行はストーリーモードと同じで、次々にやってくる敵とぷよで勝負して勝ち進むもの。
もちろん相手はCPUで、相手のツモや操作は完全固定。(或いは、敵によって固定されたパターンを数種)
対戦ルールが普通のぷよぷよ通とちょっとだけ違い、こちらからの攻撃で相手にお邪魔ぷよは一切送ることはできないが、相手からの攻撃は通常通り降り注いでくる。お邪魔は送れなくとも相殺は出来るので、相殺を駆使して相手からの一方的な攻撃を凌ぎ切る内容。
相手によって相手の組むスピードや弾数(100手、200手等)は異なるが、相手の弾を使い切らせて生き残れば勝利。
相手の組むスピードを2倍とか0.5倍とかこちらで自由に調整できると、より自分の実力に合わせた訓練がしやすいかもしれません。
また、パターンを覚えきって敵陣を見るまでもなく対応できてしまわないように、相手のツモは固定でも組むタイミングにある程度ランダム要素を入れた方がいいなど、色々工夫の余地はありそうです。
【狙い】
対人戦で言う『対応』を鍛えることが狙い。
通常のストーリーモードと同じ要領で考えもなしに大連鎖を撃っても無意味どころか、相殺の種をなくしてしまうだけなので負けます。
しっかり相手の盤面を見て、相手の2ダブや4連鎖など、的確に対応していかないとクリアできません。
逆を言えば、これがクリアできるようなら対人戦に必要なスキルがある程度備わったと言えるものになっていると思います。
相手の手順が完全固定というのがミソで、そうすることによってCPUでは出来ない計算された高度な攻撃が実現し、段階を追って対人戦に適したスキルを身につけることが出来ます。CPUの攻撃をプロの方に監修してもらえれば、オフラインでプロと戦う感覚を誰でも得ることが出来ます。
作ろうと思えば超高難易度、例えば『2ダブ3ダブ撃ち込んできた直後に無駄消しなしの最速で14連鎖ぶっ放してくる、プロでも対応出来ない圧倒的なボス』なんていうのも作れるので、作りようによっては熟練のプレイヤーでも熱中できるモードかもしれません。
また、相手の手順が完全固定なので「あのボスの50手目辺りの猛攻が厳しい!」「あそこは即座に撃てる7連鎖と4連鎖を用意しておかないと無理」と言ったような具合で、RPGさながらに攻略情報が飛び交い、プレイヤーの交流が活発になることも期待できます。
実際のプレイを想像してみます。
恐らく私はまず最初に相手のフィールドを見て、相手の出方を伺うでしょう。
だって、一生懸命連鎖を作っても無意味な訳で、まず相手が何連鎖撃とうとしているのか確認しないと何も始まらないので。
※最初の敵は落下スピードもややゆっくり目でおなしゃす。最速で3ダブ撃ってくるような意地悪な敵を作るのはラスボス付近にしてね☆
自陣から目を離すのが怖くて凝視なんてほとんど出来ない私が、です。
そんな私が初手の段階で敵陣を見ているんですよ?
もう、これだけでこのモードに大きな意味があったと言えるでしょう。
こうやって慣れていくにつれて、自然と敵陣を見る癖がつくんじゃないかなと思います。
ちなみに、これは真似ぷよで絶対クリア出来てしまうので、こちらのツモだけはランダムにするなどの工夫は必要そうです。
最も、真似ぷよには相当な凝視力が必要になるので、それが出来るようになれば脱初心者、目的達成とみなせるかもしれませんが。
最後に、既にぷよぷよはeスポーツ化され、対人戦が前提とされるゲームになっています。
しかし、対人戦の敷居が高いまま誰もその世界に入っていけないのであれば、ゲームは衰退する一方です。
新規の参入を容易にするために、楽しみながらも対人戦に必要なスキルを身につけることが出来るモードが必要だと思い、新しく考えてみました。
こういうモードがあれば、私のようなぼっちやビビリの人間でもオフラインで力を身につけることが出来るので、大変助かります。
このモードをクリア出来る程度の実力がつけば、対人戦を行ってもそこまでボコボコにされて精神を破壊されるようなことはなくなるんじゃないかな、と思います。
ぷよを盛り上げる、新規参入の裾野を広げるというアプローチは他にもたくさんあるかと思いますが、今回は対人戦の敷居を埋める新しいモードを考えてみるという内容でお送り致しました。