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ヒカルの碁風にぷよぷよを語る。

by
横えび
横えび
2手目チギリ!!? これは・・!
これは最善の一手ではない。最強の一手でもない・・
ボクがどう組んでくるかを試している一手だ!
ボクの力量を計っている!!
はるかな高みから――――


 
「階段やカギ積みの延ばし合いは今の上位勢でも全く組まれないというわけじゃないが、これはこれで難しいんだよな。普通は全消しや催促含みで延ばす。その方が勝ちやすいからだ。でも渋谷スタイルは、潰しや速攻とは無縁。画面全体に、ただひたすら延ばしていく。相手よりデカい連鎖を組めれば勝ち、小さければ負け。相手より高い点数の大連鎖を組む。考え方はシンプルなんだ」
「先生はやったことあります?渋谷スタイル」
「ある。何というか、綱渡りのような戦いだったな。この連鎖、延ばし切れるかどうかというギリギリの長連を組んでいたら、最後に相手はツモらず自滅したよ。確かに難しい戦いだった」


 
「本田さん、進藤に勝ったんだね。どうだった?今日の試合は」
「・・・・やっと勝った・・ いや、負けたと思っていた。最後の最後に、相手のぷよが一つだけ足りなかったんだ。立ち上がりで自分だけ3ダブ全消しを取った。向こうは4連鎖を打ち返すのが精一杯で、ガッチリと勝ちの体勢を作って動くもんかと思った。でも進藤がグイグイグイグイ、これでもかこれでもかって整地と催促を打ちまくってくるんだ。俺はこらえてこらえて・・ああダメだと思って最後に7連鎖を打たされたら、相手はじゃまぷよを巻き込んでラインがズレて6ダブで止まったんだ。結果は俺の中押し勝ちだ。だが、とても勝った気がしない・・・・」


 
「あ、あの人折り返しが繋がってませんよ。タブー形になってます」
「あーあ、1列目と3列目が同色だ。今階段5連を打たれたらツブれちま・・ って相手も気付いてないー!」
「ある意味今がチャンスですよ!」
「繋げ!繋げ!今の内に繋げ!」
「公式大会の生放送より緊張しますねー」
「そ、そうだなあ」


 
「おい、ちょっと待った。オレはそんなこと言ってないぞ」
「やっぱり!僕もそう思って、“まさか!絶対違うよ!何かのマチガイだッ!”って言ったんだよ。あの時、その日本人記者と何を話したの!?」
「あの記者に、三須健太郎を知っているかと聞かれたんだよ。バカにするなと思ったぜ。オレはミスケンだけじゃない、kamestryだってmomokenだってまはーらだって勉強してる。それで“ミスケンはよく知っている”と答えたついでに“日本の力がないのは、日本のぷよらー達が三須世代から何も学んでないからだろう”って言ってやったんだ」
「・・それから?」
「“今の日本が弱いと、過去の日本のぷよらー達まで忘れられていくかもしれない、残念だ”――みたいなことも言ったかな」
「・・?でもどうしてそれがミスケンの悪口なの?むしろ反対じゃない?」
「うーん、通訳した人の日本語がどうも怪しかったんだよな。オレがこれだけ話していても、その人は少ししか日本語を使わなくてさ。なんとなく嫌な予感がして早目に打ち切ったんだけど・・ もし、知ってる言葉だけ口にしていたとしたら・・・・」
「“弱い”とか”過去の人”?あー、そうか。大体分かったよ、日本チームに誤解だったって説明してくる」
「ほっとけ。しなくていい、そんなこと」
「ほ ・・ほっとけ!!?」
「“三須健太郎をバカにした高慢なコリアン”、そう思われるならそれはそれで面白い」

「・・おい、アイツ喧嘩売ってるのか?何かあったのかな。いいのか、日本人にあんなこと言って」
「どうかしたんですか?そんなに変なこと言ったんですか、彼?」 
「(ちょ・・ ちょっと待って下さいよ!今のをそのまま訳したら・・ え?“あのコメントをそのまま日本語にしろ”!?)」
「ミスケンって誰?俺、日本の選手はliveとtomしか知らないんだけど」
「あのふたりはかなり昔に引退しましたしねえ。実を言うと私も、今の選手のことはよく知らないんですよ」
「まあきっと、昔目標にしていたあの人には負けないぞ、って意味なんでしょうね」
「そうですねー、若者らしいコメントでいいんじゃないですか?」
「実行委員長、ミスケンタロウって何?」
「・・・・さあ?私はあまり・・・・」
「ふーん。日本側の運営責任者が知らないのなら、大したことはないだろうな」
「ねえ、今アイツ、ミスケンがどうだって言ったの!?誰かもう一回ちゃんと教えてよ!!」
 
「まったく、対決前日に日本勢にカラむなんて・・」
「オレがどう思われようと、別に構わないでしょ?」
「毎年恒例の韓日戦に、我々は韓国代表で出場してるんだぞ!日本側に悪感情を持たれて、今年で韓日戦を打ち切られたりしたらどうするんだ!」
「でも日本が強かった頃は、ネタにされていたのはこっちの方だったんですよ?それに、それほど悪感情を持たれたようには見えませんでしたしね。反応が鈍いって言うか、普通に拍手してましたし。彼ら――ミスケンを知らないんじゃないですか?」
「今の日本で、ぷよぷよはその程度なんですよ」
「そうかもな。前夜祭参加者の多くはスポンサーや放送関係者だろうけど、あの中で何人がぷよれるやら」
「違いない。勘違いとはいえ、ミスケンを悪く言われて怒った奴の方にむしろ好感を持つな、オレは。ハハハ!」
 


「最近、ようやくタッタカタが理解できるようになったよ」
「そうかあ。まあ、コツと慣れで習得できるしね」
「なになに?画面外まわしの話?」
「ダメダメ!お前じゃ理解できないから!」
「ちょっとだけでも教えてよー」
「ちぇっ、しょうがねえな。ちゃんと聞けよ。いいか?今、右から3列目と左から2列目の12段目まで積み上がったとする。助かるには、ぷよを画面外へ逃がすしかない状況だ。ここでお前が生き延びるには、どうしたらいい?」
「えーっと。・・レバーを上に入れて逃げる?」
「お前絶対無理!なめてんのかーッ!!」
「何よ絶対って!ヒカルに言われたくないわ!」
「まあまあ、進藤君・・」
 


「(ふーん、初手天元。最近流行だけど、スミに置くよりもやはり少し損に見え・・
!? に、2手目も天元?コ、コノヤロウ!)」


 
「なんの動画を見ているのかと思ったら、popo対まはーらじゃないか。あれからふたりは、一度も表舞台に立っていないのだろう?」
「ええ、僕の知る限りは一度も」
「popoとまはーらか・・ 魅力的な組み手だった。だが、表に出てこない者に興味は持てん」
 


「ウィッチに14連鎖を打ったって!?」
「ああ。自分でも大満足の整地だったよ。見て欲しかったぜ。あんな連鎖が組めるから――――
組めるから・・ ぷよ通スコア全一をいつまでも諦めならないんだよな・・・・」
 


「(テキが催促してくればシンクロ発火、いや普通に打ち返す方が厳しいか?よし、この手はない!テキが折り返しを強化したら黙って伸ばす。これで殺せる!テキの生きる道はない!勝った!!)」
「(・・・・生きる道が見付からない。でも・・ でも・・ setaなら、setaだったら、この広さがあったら二段堀りで助けちゃうと思うんだ。
生きる手順は・・ ない・・・・ でも・・ そう思ってsetaの顔を見ると・・ きっとニコッと笑ってアイツは――――)」

 
更新日時:2018/06/09 22:32
(作成日時:2018/06/09 22:10)
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